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東京高等裁判所 平成6年(ネ)2184号 判決 1996年2月20日

主文

本件控訴を棄却する。

ただし、被控訴人の請求の趣旨の訂正により原判決添付物件目録を本判決添付物件目録に改め、かつ、原判決主文第一項一行目「原告に」とあるのを「原告らに」と更正する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実及び理由

第一  申立

一  控訴人ら

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人らの請求を棄却する。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。

二  被控訴人ら

本件控訴を棄却する。

第二  事案の概要

事案の概要は、次のとおり付加、訂正するほかは、原判決事実及び理由「第二 事案の概要」欄記載のとおりであるからこれを引用する。

1  原判決二丁表一二行目「贈与により」の次に「本判決添付」を、同丁裏一行目「甲一」の次に「、二の6、八、一七ないし一九、三一ないし三四、三五の1、2、三六、三七の1、2、三八の1、2、三九、弁論の全趣旨」を、同行末尾に「なお、控訴人ら提出の乙第二四号証には本件土地の一部が、道路位置指定のされていない控訴人ら所有の川崎市多摩区生田七丁目二九○六番二八に属していることを窺わせる記載があるが、甲第二号証の6、第一八、第一九号証、第三五号証の1、2及び弁論の全趣旨によれば、宅地開発の際、生田七丁目二九○六番四一は道路用地として、また、同番二八は宅地として確保され、以後土地の利用状況には変化がないこと、公図に記載された二九○六番二八と同番四一の各土地の形状は乙第二四号証とは明らかに異なっていることが認められ、右事実によれば乙第二四号証はにわかには措信できず、かえって、前記各証拠及び弁論の全趣旨によれば、二九○六番四一の土地は本判決添付図面ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、ト、チ、リ、ヌ、ヲ、ロ点を順次直線で結んだ部分と認めるのが相当である。」を各加入する。

2  同二行目「本件土地は、」から同五行目までを「本件土地は、昭和三三年ころ本件土地周辺が大規模な分譲住宅団地として開発された際、各分譲地に至る通路として開設された幅員四メートルの道路で、同年一月一三日、川崎市長から建築基準法四二条一項五号の道路位置の指定を受け、以後自動車による通行も含め近隣住民その他の通行の用に供されている。現在は舗装がされている。(甲二の1ないし6、一七ないし一九、弁論の全趣旨)」と改める。

3  同七行目の末尾に「被控訴人らはいずれも自動車を利用する者であるが、その居住地から自動車で公道に出るためには本件土地を利用することが不可欠である(公道に通じる道路はあるがいずれも階段となっており、自動車による通行ができない。甲一六の1ないし6、一九、二○、二三の1、2)。」を加入する。

4  同八行目「被告らは、」の次に「本件土地を自動車で通行する者の運転が乱暴で危険であるとして、」を加入し、同九行目「平成四年」を「同年」と改め、同一○行目「甲四」の次に「、控訴人中原正城本人」を、同一一行目「甲五」の次に「、二二」を各加入する。

第三  当裁判所の判断

当裁判所も被控訴人らの請求はいずれも理由があるものと判断する。その理由は、原判決三丁裏五行目から同四丁表一行目「得ない」までを次のとおり改めるほかは、原判決事実及び理由「第三、争点に対する判断」欄の説示と同一であるからこれを引用する。

「前記認定の事実によれば、本件土地は大規模な住宅団地内の道路として昭和三三年ころ開設され、同年一月には建築基準法四二条一項五号の道路位置指定を受け、以来、三○年以上にわたり周辺住民その他が自動車通行を含め道路として利用してきた土地で、特に、被控訴人らの居住地から自動車で公道に出るためには本件土地を利用することが不可欠であり、一方、控訴人らが本件土地に簡易ゲート等を設置するのは専ら被控訴人らの自動車通行を妨害しこれを止めさせるためでしかないから、被控訴人らは本件土地につき自動車通行を含む通行の自由権を有し、これを妨害する控訴人らに対して妨害排除、妨害予防を請求することができるというべきである。」

よって、原判決は相当で本件控訴は理由がないからこれを棄却し、なお、被控訴人らの請求の趣旨の訂正により原判決添付物件目録を本判決添付物件目録に改め、かつ、原判決主文第一項一行目の「原告に」は「原告らに」の誤りであること明白であるから、これを本判決のとおり更正し、控訴費用の負担につき民訴法九五条、八九条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。

(別紙)

物件目録

川崎市多摩区生田七丁目二九○六番四一

宅地 九四・五八平方メートル

ただし、別紙図面ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、ト、チ、リ、ヌ、ヲ、ロ点を順次直線で結んだ部分。

<省略>

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